「私のズボンが洗濯から戻って来ない。もう随分前に出したのに。」
「もう、戻ってきてお渡ししてますよ。」
「貰って無いよ。それに私が寝てたら黙って入って来て勝手に箪笥を開けて持っていっ た。盗んで行った。」
「盗む人なんかいませんよ。」
「いいや、あたしゃ見てたもの、もっと沢山あったのに、取られた。だから布団の下に 隠してあるもの。」
「そおぉ。居室を探して見てください。盗むような方はい無いよ、私ともう一度探して 見ますか、。」
居室を訪れると、確かに布団の下に風呂敷で包んだズボンが2本出てきた。
「ここに来た時ズボンは何枚持ってきました?」
「覚えちゃいんが、こんな色の服(私の上着を指さしながら)を着た人が勝手に持って いった。」
えぇースタッフが泥棒にされちゃったよ。
被害妄想の症状がある方なのでスタッフは必ず本人と一緒に着替えをすること。と心得ているのですがそれすらも記憶が飛んでいるようだ。
話をそらさないと何時までも盗まれたと言われるので、
「風呂敷に包んだのが2枚、椅子にかけて有るので3枚と指さしながら今はいているの で4枚でしょう。椅子に掛けて有るのは汚れているようだから洗濯機にかけて来ま しょうね。一緒に洗濯に行きましょう。」
「そりゃ良いが、何だか騙されてるみたいだよ。(騙しているのではないが話をそらせ ただけですよ。)」と仰りながら一緒に洗濯をしに行く。
少しの間は言われないが暫くすると今度は「肌着をいい加減前に洗濯に出したのに戻って来ない。何時になったら戻ってくるだ?」
が始まる。
どこの回路が違ってくるのか、自分はこんな症状にはなりたくない。